BtoBマーケティングにおいて、KPIの設定は非常に重要です。KPIはマーケティング活動の効果を定量的に測定し、目標に向かって進捗を評価するためのツールとして利用できます。適切なKPIを設定することで、マーケティング戦略の効果を把握し、必要な調整を迅速に行うことが可能になります。この記事では、効果的なKPIの設定方法について具体的なステップを解説します。
KPIとKGIの定義
KGI(重要目標達成指標)とは
KGI(Key Goal Indicator)は、企業の最終目標を測定する指標です。企業全体の戦略的な目標を反映し、売上、利益、市場シェア、顧客満足度など、企業の長期的な成功を示す重要な結果を測定します。例えば、「年間売上1億円達成」や「市場シェア20%獲得」といった具体的な目標がKGIに該当します。KGIは企業のビジョンやミッションを実現するための最終目標として設定され、経営陣やステークホルダーにとって重要な指標となります。
KPI(重要業績評価指標)とは
KPI(Key Performance Indicator)は、業務の進捗を評価するための指標です。KPIは、KGIを達成するために必要な具体的な活動やプロセスの進捗を測ります。例えば、商談数、平均商談単価、受注率などがKPIに当たります。KPIは、日々の業務が目標達成にどれだけ貢献しているかを把握するために使われ、チームや部門のパフォーマンスを確認するのに役立ちます。また、KPIを設定し業務プロセスを複数の役割で分業することで、チーム全体が一丸となって目標達成に向けて取り組むことにつながります。さらに、KPIのデータ分析を通じて、効果的な部分と改善が必要な部分を特定でき、リソースの配分や戦略の修正を迅速に行い、より効率的な活動へとつなげることが可能となります。
KPIとKGIの違い
KGIは企業の最終的な成功を示す指標であり、KPIはその成功に向けたプロセスの進捗を示す指標です。両者は連携して機能し、KPIの達成が最終的なKGIの達成につながるように設計されます。例えば、企業のKGIが「年間売上1億円達成」と設定されている場合、この目標達成を構成する、既存顧客からの継続売上8,000万円、新規企業の売上2,000万円が上位のKPIとなります。さらに、新規企業の売上を構成する月ごとの商談数や受注率が下位のKPIとなり、このように因数分解して設定を行います。
KPI設定のステップ
ステップ1: KGIの設定
KGIは、企業の最終的な目標を明確にし、具体的なゴールを設定します。まず、企業のビジョンやミッションに基づいて、達成すべき具体的な目標を設定します。これには、売上目標や受注数、市場シェアの拡大、顧客満足度の向上などが含まれます。例えば、企業が「年間売上1億円」を目標とする場合、この売上目標がKGIになります。
ステップ2: 商談プロセス係数の設定
KGIを達成するためには、商談プロセスの各ステージにおける重要な指標を設定することが必要です。これには受注率、商談化率、商談単価などの指標が含まれます。過去の実績に基づくものやビジネス上の目標を置く形でも問題ありません。ただし、非現実的な数値設定は、この後設定するKPIが非現実で達成困難となるため、ビジネスを理解して設定することが重要です。
ステップ3: KPIの逆算
設定したKGIと商談プロセスの係数をもとに、必要なリード数やアクション数などを逆算し、それに基づいてKPIを設定します。これにより、最終目標に向けてどのような具体的な数値目標を達成すればよいかが明確になります。例えば、年間売上1億円を達成するために50件の商談を作る必要がある、そのためには月間で500件のリードが必要と逆算するイメージです。この数値をKPIとして設定します。
ステップ4: KPIの目標設定
KGIから逆算されたKPIを個人や組織の目標に設定します。このとき、複数名でプロセスを分業しているビジネスでは、自身が担当する直接的なKPI指標だけでなく、その後のプロセスの間接的なKPIも合わせて目標設定することが重要です。これにより、プロセス全体の質を維持し、目標達成に向けた一貫性を保つことができます。例えば、インサイドセールス担当者の場合、自ら架電することによる直接的な「月間100件のアポ設定」のKPIと、そのアポを受け取って商談を進める営業担当者の「商談化率50%」の間接的なKPIも目標に入れることで、プロセス全体の品質と効率が向上します。
BtoBマーケティングの各施策のKPI
BtoBマーケティング担当者が行う代表的な施策のKPIの例をご紹介します。
Webサイト・広告
直接的なKPI
- 月間訪問者数: ウェブサイトに訪れるユーザー数を追跡します。
- リード獲得数: ダウンロードや問い合わせフォーム送信を通じて獲得したリード数。
- コンバージョン単価: リード1件を獲得するために必要となった費用。
後続プロセスのKPI
- リードナーチャリングのKPI: 獲得したリードのうち、フォローアップのメールへの反応率。
セミナー
直接的なKPI
- 参加者数: セミナーに登録し、実際に参加した人数。
- 参加者満足度: アンケートやフィードバックを通じて得られる参加者の満足度スコア。
後続プロセスのKPI
- フォローアップ後の商談数: セミナー参加者へのフォローアップ活動を通じて設定された商談数。
展示会
直接的なKPI
- 名刺交換数: 展示会で交換した名刺の数。
- ブース来訪者数: ブースに立ち寄った人数。
- 出会いがしらの商談数: 展示会で獲得できたいますぐ顧客の数。
後続プロセスのKPI
- 顧客維持率: 展示会で獲得した新規リードが一定期間後も継続してアクティブである割合。
インサイドセールス
直接的なKPI
- コールドコール数: 新規リードへのアプローチとして行ったコールドコールの数。
- アポイント設定率: コールドコールから商談設定に成功した割合。
後続プロセスのKPI
- 商談から成約への転換率: アポイントから商談を行い、成約に至る割合。
KPI設定後の観測とアクション
KPIを設定しただけでは、その効果を最大限に引き出すことはできません。設定したKPIを定期的に観測し、得られたデータに基づいて適切なアクションを取ることが重要です。
KPIの観測
KPIの観測は、定期的なレビューを通じて行われます。まず、週次や月次のレビューでは、KPIの達成状況を定期的に確認します。週次レビューでは短期的な進捗を確認し、月次レビューでは全体の傾向を把握します。また、四半期ごとに詳細な分析を行い、中長期的な戦略の見直しを行います。
データの収集と分析をするにあたっては、自動化ツールの利用が非常に重要です。Google AnalyticsやCRMシステムなどの自動化ツールを活用することで、データを効率的に収集・分析できます。これにより、KPIを効果的に監視することが可能となります。さらに、KPIを一目で確認できるダッシュボードを作成し、リアルタイムで進捗を把握できるようにすることも有効です。
KPIに基づくアクション
KPIに基づくアクションを起こすためには、まず設定したKPIに対する実績を評価し、目標に達しているかを確認します。目標を達成している場合は、その成功要因を分析し、他の施策にも展開します。もし目標と実績の間にギャップがある場合、その原因を分析し、具体的な問題点や改善点を特定します。これに基づいて次のアクションプランを策定します。例えば、KPIに対してリード獲得率が低い場合、短期的にはウェブサイトのコンテンツやランディングページの最適化がアクションの選択肢となりますし、中期的にはチームメンバーのスキル向上を図るためのトレーニングや教育プログラムの実施が考えられます。
まとめ
BtoBマーケティングにおけるKPIの設定は、目標達成への道筋を明確にし、マーケティング活動の効果を最大化するために不可欠です。まず、KGIを設定し、それに基づいて具体的なKPIを設定することが重要です。KPI設定のステップとして、KGIの設定、商談プロセス係数の設定、KPIの逆算、そしてKPIの目標設定の流れがあります。また、KPIの観測とそれに基づくアクションの実施をすることで、継続的な改善につながります。
さとりファクトリではこのような考えに基づいてBtoBマーケティングを実践してきました。もしこの取り組みに興味があり、詳細について知りたい場合は、ぜひお問い合わせください。貴社のマーケティング活動にも活用できるヒントをお伝えいたします。
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