ここまで顧客との共感や、課題の定義を進めてきました。これにより顧客の課題感は明確になりました。
ここから新しいアイディアを作り出し、顧客に提案をしていきます。
デザイン思考をマーケティングに応用することで、顧客の共感を得やすいメッセージやキャンペーンを構築し、より効果的な結果を得ることができます。これにより、単なる売上向上ではなく、顧客満足度の向上やブランドロイヤルティの確立といった長期的な価値を生み出せます。
共感・課題定義とは?(復習)
少し復習しましょう。対象のブログは下記です。
1. 共感:顧客を理解する
デザイン志向の共感プロセス for マーケター | さとりファクトリ
デザイン思考における最初のステップは、ターゲットユーザーを深く理解することです。この段階では、顧客の視点に立ち、彼らが直面する問題や課題を明らかにすることに注力します。マーケターとしては、以下の具体的な方法を活用して共感を高めることができます。
- 顧客インタビューと調査
潜在顧客や既存顧客と直接会話し、彼らの悩みや願望を掘り下げます。また、アンケート調査を用いて人口統計や嗜好に関するデータを収集し、広範な視点で顧客を理解します。- 市場調査
業界レポートや競合分析を通じて、顧客が直面する課題の背景や潜在的なニーズを明らかにします。これにより、自社の提供価値が顧客にどのように響くかを評価できます。- カスタマージャーニーマッピング
顧客がブランドと関わるさまざまなタッチポイントを可視化し、購入プロセス全体を通じた顧客体験を理解します。これにより、顧客が途中で離脱するポイントや感情的な障壁を特定できます。
注意すべきは、自社サービスなどの前提は置かずに顧客視点に立つことです。観察やインタビューだけでなくロールプレイングなども共感を深める手段として有効です。
2. 課題を定義する
自社サービス・製品における具体的な課題再定義フェーズの活用方法 | さとりファクトリ
共感によって得た洞察を基に、顧客の抱える中核的な問題を定義します。このステップでは、ビジネス目標にとどまらず、人間中心の視点で問題を捉え直すことが求められます。
- 顧客視点での課題定義
「顧客がこの商品を購入しない理由は何か?」や「このサービスが顧客の課題を解決するためには何が不足しているか?」といった形で問いを立て、問題の本質を明らかにします。- 具体例:コンバージョン率の改善
例えば、理想的な顧客がWebサイトを訪れ、価格や商品を好意的に評価しているにもかかわらず、購入に至らない場合を考えます。この場合の課題は、単なる価格の問題ではなく、以下の要因が考えられます:
- サイトの使い勝手が悪い
- 購買意欲を高めるコピーが不足している
- CTA(Call to Action)が魅力的ではない
このように、課題を顧客中心の視点で定義することで、具体的で実行可能なソリューションの設計が可能になります。
アイデアを出す(Ideate)
Ideateは、共感と課題定義で得たインサイトを基に、具体的な解決策を創出する段階です。このプロセスでは、自由でクリエイティブな発想を促進し、可能性を広げることを目指します。マーケテイングではここで顧客の共感と課題に基づいた、マーケティングコンテンツやソリューションを検討することになると思います。
具体的なアイデア例
- コンテンツマーケティングのアイデア
- ブログ記事のテーマ案
- 「顧客がよく抱える課題への具体的な解決策」
- 「製品やサービスの活用方法を紹介する成功事例」
- 「季節に合わせた特集やトレンド解説」
- 動画やビジュアルコンテンツ案
- 製品の使い方をわかりやすく示すチュートリアル動画。
- ブランドストーリーを伝える感情的なビデオコンテンツ。
- ソーシャルメディア用の短尺で目を引くアニメーションやインフォグラフィック。
- ユーザー参加型キャンペーン
- 「#〇〇チャレンジ」のようなハッシュタグキャンペーンで、顧客に自社製品を使った体験をシェアしてもらう。
- 投票やクイズを通じて、インタラクティブなエンゲージメントを促す。
- 広告戦略のアイデア
- メッセージ改善案
- CTA(Call to Action)の文言を「今すぐ始める」から「簡単3ステップで解決」など具体的で共感を得やすい表現に変更。
- ターゲット層に特化したメッセージを作成(例:「忙しいママのための時短レシピ」など)。
- 配信チャネルのアイデア
- Google広告やFacebook広告のターゲティングを再考し、未開拓のニッチ市場を狙う。
- 地域密着型の広告プラットフォームを活用する。
- クリエイティブ要素の改善案
- ビジュアルデザインをシンプルかつ目を引くものに変更。
- 色やフォントのテスト(A/Bテストを実施し、最も効果的なデザインを特定する)。
- ウェブサイト改善のアイデア
- ナビゲーションの簡素化
- 「1クリックで目的のページに到達できる」ようなシンプルな構造。
- CTAの配置とデザイン変更
- CTAボタンの位置を目立つ場所に移動し、色やサイズを強調。
- 動画の終わりに「次のステップ」を案内するリンクを設置。
- ページの読み込み速度を改善
- 技術的な最適化や画像圧縮で、ページ読み込み速度を高速化。
- 顧客体験向上のアイデア
- 新規顧客向けのウェルカムパッケージ
- 初回購入時に特典付きクーポンやパーソナライズされたメールを送付。
- 購入プロセスの簡略化
- 「ゲスト購入」機能を導入し、アカウント作成なしでスムーズに購入できる仕組みを整える。
- FAQページの拡充とチャットボットの活用
- ユーザーが抱える一般的な質問に迅速に答えられる仕組みを構築する。
- ソーシャルメディア活用のアイデア
- 毎週のライブ配信
- 製品の新機能や開発秘話を紹介し、リアルタイムで顧客と対話する場を設ける。
- コラボキャンペーン
- インフルエンサーとの協力で、幅広い層へのリーチを実現。
- ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用
- 顧客が投稿したレビューや写真をフィードで共有し、信頼感を高める。
アイディア出しの方法
マーケティングにおけるIdeateの段階では、単なる発想に留まらず、具体的なソリューションやコンテンツ案を生み出すことが求められます。多様な視点や手法を活用し、顧客に響くアイデアを幅広く出すことで、次のプロトタイピングやテスト段階に向けた強固な基盤を築くことができます。
具体的な方法として「ブレインストーミングがおすすめです。最も大きなメリットは、個人では考えつかないようなアイデアがチームでの連携を通じて生まれることです。このプロセスを通じて、多様な視点を結集し、革新的な解決策や新たなマーケティング戦略を構築する基盤が形成されます。
ブレインストーミングの進め方
ブレインストーミングを効果的に進めるためには、参加者の多様性を活かすことが重要です。異なる職種や背景を持つメンバーを加えることで、新しい視点や創造的な解決策が生まれる可能性が高まります。マーケティングではマーケターだけではなく、共感フェーズと同じように営業や、技術、サポートなど異なるバックグランドを持つメンバーが居ることが重要です。また、このアイディ出しのタイミングでは突飛な考えも含めて、否定することなく受け入れることが重要です。
これは「Yes and」といわれ、相手の意見や提案を受け入れ、それをさらに発展させる考え方を指します。否定や批判を避けることで、チームメンバーが自由に発言しやすい環境を作り、アイデアが積み重なることで革新的な解決策が生まれる可能性を高めます。どんなアイデアでも「なるほど、それは面白いね」と肯定的に受け止めます。これにより、提案者は自己表現への自信を持ち、発言を続けやすくなります。さらに「そのアイデアに加えて、こんな方法もどうだろう?」という形で発展させ、チーム全体でアイデアを深めます。このステップにより、最初の提案がさらに具体的かつ実現可能なものになります。
- 目的を明確にする
- セッションのテーマやゴールを明確に設定します。例:「新製品の市場投入戦略を考える」「顧客ロイヤルティを高める方法を提案する」など。
- 自由な発想を奨励する
- どんなアイデアも歓迎し、批判や否定は避けます。「悪いアイデアは存在しない」という雰囲気を作り出し、発想の幅を広げます。
- 異なる職種のメンバーを巻き込む
- 営業: 顧客との接点が多く、現場でのフィードバックや顧客の反応に基づくアイデアを提供できます。
- 技術(エンジニア): 製品やサービスの実現可能性に関する知識を活かし、技術的な視点から解決策を提案します。
- カスタマーサポート: 顧客が直面する課題やよくある質問を共有し、課題解決のヒントを提供します。
- マーケティング: 顧客ニーズや市場トレンドに基づいた戦略的な提案を行います。
- その他の部門: 必要に応じて法務、デザイン、経理なども参加させることで、より多角的な視点を得られます。
- アイデアを可視化する
- ホワイトボードや付箋、デジタルツール(例:MiroやGoogle Jamboard)を使用し、全員の意見を視覚的に記録します。これにより、アイデアの重複やつながりを発見しやすくなります。
- 広げる問いを活用する
- 「技術的にもっと簡素化できる方法は?」「顧客が直感的に使えるにはどうすればいいか?」など、多職種の視点から問いを投げかけ、新しいアイデアを引き出します。
- 制限時間を設定する
- 集中力を高めるため、例えば20~30分の短いセッションに区切り、多くのアイデアをスピーディに生み出します。
まとめ: ブレインストーミングを取り入れ、アイデアを形にしよう
ブレインストーミングは、チームの力を最大限に引き出し、創造的な解決策を生み出す強力な手法です。「Yes and」の精神を取り入れ、多様な職種や視点を巻き込むことで、単なる発想を超えた実現可能で革新的なアイデアが得られます。
アイデアを出す際には、否定を避け、自由な発想を奨励することで、心理的安全性を高めながらより多くの選択肢を生み出せます。また、次のステップであるプロトタイピングやテスト段階に向けて、確かな基盤を築くことができます。
ぜひ、次のプロジェクトでブレインストーミングを取り入れてみてください。あなたとチームが生み出す新しい発想が、顧客の心を掴み、ビジネスをさらに前進させるきっかけになるでしょう。 今日から、創造性の可能性を広げてみませんか?
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