私はIT企業で3年ほどマーケティングに従事しており、主に施策実行の部分を担当してきました。
その中で生成AIには、コンテンツ制作やアイディア出しなど、さまざまな場面で力を発揮してもらっています。最近は特に、何も考えずにチャットしてもかなり良い回答が得られるようになりました。
しかし生成AIの活用について、「思ったような回答が返ってこない」「生成AIで業務を効率化したいけど、本当に使えるの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。その気持ち、よくわかります。
日本マイクロソフトのCEOも「Copilot活用は筋トレ」という旨を話されていました。その通り、使いこなすには少し練習が必要だと感じています。
上達の近道は具体例を見て真似すること。私もまだまだ”トレーニー”の域を出ませんが、事業会社の現場マーケターとしての活用例が参考になればと思い、ブログにしてみました。
※本記事で取り上げる生成AIとは、ChatGPTやMicrosoft Copilotといった対話型のAIを指しています。
生成AIをうまく使うコツ
まずは、私が感じるポイントをご紹介します。
企画は自分で考える
「Copilot(副操縦士)」とはよく言ったもので、何をしたいかをしっかり持っていないと生成AIは使えません。目的やターゲットは自社の戦略に沿ったものを設定し、それに基づいて言語化や文章の整形を生成AIに支援してもらう方法が効果的です。
生成AIが全てをやってくれるという考えではなく、自分で考える意識は必要です。
自分がレビューできる分野で使う
生成AIは、時には不正確な情報を提供しますし、必ずしも最適解を導き出してくれるわけではありません。そのため、生成AIのアウトプットをレビューできる分野での活用をお勧めします。
例えば、生成AIはコーディングに優れていますが、エンジニアでない私が全く基礎知識のないC言語で何かをしたい場合、生成AIの活用はかなりハードルが高いでしょう。出てきたものが正しいのか、間違えている場合はどう修正すれば良いのか、見当がつかないためです。
最低限の知識は、時間をかけて自力でつけなければなりませんね。
現場マーケターの生成AIの活用方法をご紹介
それではここからは、私がリアルに使っている生成AIの活用シーンをご紹介します。
アウトライン作成
ブログやホワイトペーパーなどのコンテンツを作成する際、生成AIに目的、ターゲット、キーワード等を指定してアウトラインを作成してもらうことができます。
ただし、生成AIが一発で的確なアウトラインを提供してくれるとは限りません。
そのため、作成されたアウトラインをたたき台として、自分の目的に沿った内容になるように組み替えたり、指示を追加して修正を依頼したりすることが重要です。こうしたプロセスを通じて、より質の高いコンテンツを生み出すことができるでしょう。
ライティング
上記のように目的に沿ったアウトラインが完成したら、それを基にライティングを進めます。生成AIにより意図に沿った文章を生成させるには、それぞれの章で何を言いたいのか箇条書きでポイントを書くと良いです。
その箇条書きと「きれいな日本語の文章にしてください」などの指示を生成AIに入力すると、割ときれいな文章にしてくれます。
てにをは、や接続詞を気にせず言いたいことを言いたいだけバーっと書くだけなので、気にするポイントが減って気が楽になります。
また、すでに世の中にある情報を要約したい、という際は「xxの概要をブログ記事に載せたいです。その概要を500文字程度で作成してください。」などど指示をすると、本当によくきれいにまとめてくれます。
ただし生成AIは、自分目線なのか、第三者目線なのか、主語や目線がごちゃ混ぜになることが多いので、文章がおかしかったらどの目線で文章を書きたいのか、指示してあげてくださいね。
コーディング
業務の中ではLP作成や修正も行っていたため、簡単なHTMLやCSS、PHPを書く必要がある場面もありました。
それまではウェブで検索しながらちょっとずつ進めており、表示が変わらない、表示が崩れる…などのトラブルに苦労していました。
しかし、生成AIを活用することで、作業が大幅に楽になりました。
既存のコードを生成AIに入力し、「○○の表示を○○にしたい」とプロンプトを投げかけると、現在のコードを考慮して修正案を提案してくれます。
さらに、そのコードが何を意味するのかも丁寧に教えてくれるので、実際のコーディングの勉強にもなります。
LP修正のスピードも、かなり上がりました。
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ターゲットとの疑似会話
生成AIにターゲットになりきってもらい、「何に悩んでいますか?」「何を達成したいと思っていますか?」といった質問を投げかけたりすることもあります。ターゲットの視点やニーズを理解する手助けになります。
実際にはお客様のもとに直接インタビューを行うのが最も効果的ですが、毎回それが可能というわけではありません。そんな時に生成AIを活用することで、仮想的にターゲットの声を聞くことができ、施策の実行やコンテンツ作成の際のヒントとすることができます。
この方法は、ターゲットの抱える問題や望みを深く考えるきっかけにもなり、より効果的な施策の立案に繋がるでしょう。
生成AIの違いと使い分け
生成AIは非常に普及しており、種類も豊富ですよね。何をどう使えばよいのか迷っている方に向けて、ご参考までに私の使い方をご紹介します。
自社独自の情報を取り扱う時→Copilot
戦略内容や数字など、自社独自の情報を取り扱う際は、情報が学習されない、エンタープライズ向けのMicrosoft Copilotを活用します。
出たばかりの際は正直あまりうまく回答してくれませんでしたが、現在ではかなり精度が上がり、頼れる相棒となりました。
世の中にある情報を、”根拠を明確にして”まとめたいとき→Copilot
この場合もMicrosoft Copilotを活用します。
Copilotは検索エンジンであるBingのリアルタイム検索結果を参照し、元にした文献のリンクも提供してくれます。そのため、どこから情報を引っ張ってきたかを確認でき、信頼性の高い情報整理が可能です。
参考ブログ:生成AI “Copilot”とは?ChatGPTとの違いや業務での活用方法をご紹介!
ライティングをしたいとき→GPT
ChatGPTなど、「GPTモデル」が搭載されているAIを活用します。
Copilotよりも自然で美しい文章を生成することができるため、コンテンツ制作において非常に便利です。ただし、生成された内容の根拠が不明になることがあるため、注意が必要です。
画像生成をしたいとき→Firefly
AdobeのFireflyを使います。
ChatGPTやCopilotも画像を生成できますが、個人的にはFireflyが1番だと思っています。
参照画像やテイストについて細かくチューニングできるので、意図した通りの画像生成やテイストを合わせた複数の画像生成がしやすいです。
このように、それぞれの生成AIには得意分野があり、目的に応じて使い分けることで、より効果的な活用が可能になります。
今後チャレンジしたい使い方
今後、自社データと組み合わせての活用をチャレンジしてみたいです。
効果的な施策の洗い出し
過去の施策の結果を使って、どの施策が成功したのか、あるいは改善が必要なのかを明確にし今後の戦略を練り直す、マーケティングの基本動作かと思います。
生成AIを活用すると、大量のデータを迅速に分析し、パターンやトレンドを見つけ出すことができます。これにより効率的かつ的確な判断ができるようになると良いですよね。
ただし、そのためにはまずデータをデジタルで管理・統合し、ある程度のクレンジングを行う必要があります。AIに自社のデータを理解させるためには、高度な整備が求められ、少しハードルが高いかもしれません。
まずは、マーケティングで活用しているデータの整備から始めることが重要です。さとりファクトリではデータクレンジングの支援も行っていますので、お悩みの方はぜひご相談ください。
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