クラウドの費用、少しでも抑えたいですよね。
なんと、Azureでは利用料金を抑えられる仕組みがいくつか存在します。
いままでで、その代表であるハイブリッド特典(AHB)、予約インスタンス(RI)について解説しました。
本日は、第三弾として、「節約プラン(Azure Savings Plan for Compute)」について解説したいと思います!
Azureの節約プラン(Azure Savings Plan for Compute)とは
Azureの節約プラン(Azure Savings Plan for Compute)は、Azureの仮想マシンやその他のコンピューティングリソースのコストを削減するためのプランです。比較的新しいオプションで、予約インスタンス(RI)ではお得にならない動的なワークロードがお得に使えるようになります。
1 年間もしくは 3 年間、固定の1 時間の利用料をコミット(=予約)することで、コミットした部分の利用料が割引価格になるという仕組みで、リージョンやインスタンスのシリーズ、OSに関係なく適用できます。
特徴① 従量課金に比べてコスト削減を実現できる
節約プランを活用することで、通常の従量課金制の価格と比較して最大65%割引できます。
たとえば具体的な例を示すと、下記の場合47%の割引になります。
- D4as v4 (4 vCPU、16 GB RAM)
- Windowsサーバ(OS料金込み)
- 24時間365日稼働
- 1台
→ 従量課金:¥48,401/月
→ 節約プラン(3年):¥35,237/月
特徴② 自動的に最適化される
節約プランを購入すると、その割引率が最大化するよう、1時間ごとに自動的に最適化されます。複数リージョンをまだいていたり、複数サービスを契約していたりしてもすべてひっくるめて最適化します。
管理者が逐一確認し、節約プランを付け替えるといった作業は不要です。ある程度ほっておけるのがうれしいポイントですね。
特長③ 多くのAzureサービスが対象になる
節約プランは、下記のサービスに適用することができます。
- Azure 仮想マシン(Azure VM)
- Azure App Service
- Azure Functions premium plan
- Azure Container Instances
- Azure Dedicated Host
- Azure Container Apps
- Azure Spring Apps Enterprise
ちなみに、Azure Kubernetes Service (AKS)、Azure Virtual Desktop (AVD)、Azure Databricks などの Azure ソリューションによって利用される仮想マシンの使用料金も、Azure 節約プランの対象となります。
予約インスタンス(RI)と節約プラン(Savings Plan)の違い
予約インスタンスと節約プランは、「1年もしくは3年分のリソースを予約して月額費用を削減する」という基本情報が共通しているため、どちらを選択すればよいのか迷いますよね。
正しい選択には、「何に対して予約をするのか?」を考えることが重要です。
予約インスタンス | 節約プラン | |
---|---|---|
何に対して予約するか | リソースタイプやリージョンを特定し、その「特定のリソースのみ」予約する | 「1時間に消費するコンピューティングリソースの量」を予約する |
具体例 | 東日本リージョンで D2v4 仮想マシンを 1 年間使うことをコミットする | 3年間、1時間あたり3,000円(以上)のコンピューティングリソースを消費することをコミットする |
向いているワークロード | ドメインコントローラなどの、稼働時間が変化しないもの | 状況に応じて稼働時間や消費するリソースが変化するもの |
節約プランの購入方法
節約プランは、Azure portal もしくは、REST API を使用して購入できます。
Azure portal上部の検索窓より「Saving plans」と検索し、サービスを選択、必要な項目を入力することで購入できます。
参考:Azure portal で節約プランを購入する(Microsoft公式ドキュメント)
節約プランを購入する際にどのくらいの額をコミットするべきかは、Microsoftから提示される推奨事項を参考にできます。
下記の3か所にて確認できます。
- Azure Portal:
Azure Portal内で、節約プランの購入エクスペリエンスを通じて推奨事項が提供されます。ここでは、期間や特典のスコープごとに最大10件の推奨が表示されます。 - Azure Advisor:
Azure Advisorでは、課金サブスクリプションごとに1年間および3年間の節約プランの推奨が提供されます。共有スコープやリソースグループスコープの推奨を確認する場合は、Azure Portalを利用します。 - Recommendations API:
節約プランのベネフィットレコメンデーションAPIを使用してプログラム的に推奨事項を取得することも可能です。
この推奨事項は、過去7日間、30日間、60日間の使用量とコストデータを基に生成されます。このデータで最適なプランを特定し、数百のシミュレーションを実行して総コストを算出。結果を比較し、節約が見込まれる候補のみ推奨。最大10件の推奨が提示されます。
実際に動作しているリソースから計算されるため、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
最後に、簡単にまとめます。
節約プラン(Azure Savings Plan for Compute)は1年間もしくは3年間、1時間当たり何円のコンピューティングリソースを消費するか、をコミット(=予約)する制度です。
これはリージョンやサービスにかかわらず自動的に最大化されるよう適用されるため、効率的な節約が可能になります。
予約インスタンスとの違いは、特定のリソースに対して適応するものか、それともリソースの稼働量に対して適応するものか、という点です。予約インスタンスは静的なワークロード、節約プランは動的なワークロードに適しています。
以上、いかがでしたでしょうか?
利用するAzureサービスによって節約プランと予約インスタンスをうまく併用し、無駄のないAzure活用を進めるヒントとしていただけましたら幸いです。
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